どうせ企業で働くのなら、「働きがいのある企業」を選びたい。
それが多くの方の本音だと思います。
Openwork(旧Vorkers)発表の「働きがいのある企業ランキング2019」をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか?
2019年の働きがいのある企業ランキング1位は「グーグル合同会社」
![](http://manabilab.jp/wp-content/uploads/2021/08/mitchell-luo-jz4ca36oJ_M-unsplash.jpg)
ランキングにある社内評価を見ると「非常にフラットな組織体制」や「社員それぞれのバックグラウンドや個性、アイデアを尊重する文化」に対して高い評価が寄せられています。
どうして企業ごとに、組織体制や社内の文化が違うのでしょう?
その違いを知る重要なキーとなるのが「ミッション」なのです。
今日は、働きがいのある企業ランキング1位、Google合同会社のミッションを考えてみたいと思います。
目次
グーグル合同株式会社のミッション
日本語からミッションを考えてみよう
グーグル(Google)は自社のミッションを次のようにサイトのトップに掲げています。
Googleの使命は、「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」。
彼らのビジネスはミッションに基づいて展開されています。
Googleのビジネスの全貌は、ネットだけではとてもつかみにくいので知りたい方は、ぜひ下記の書籍などを読んでみて下さいね。
Googleのミッションを頭に入れてからサービスを考えると、壮大な計画が世界規模で成されていることに気付きます。
![](http://manabilab.jp/wp-content/uploads/2021/08/image-1024x374.png)
デザイン面では、上記のミッションの文字にはGoogleのロゴカラー青・赤・黄という色の三原色に加えて、「Googleはルールにとらわれない」という哲学を示すための緑色が用いられています。
基本の三原色に該当する言葉はそれぞれ、「情報」「整理」「使える」。
これらの要素は全ての基本であり、Googleには必須ということを意味しているのかも知れません。
そして「ルールにとらわれない」緑に該当するのが「世界中の人がアクセス」の箇所です。
「世界中の人がアクセス」できるようにするためには、「ルールなんて超えていく」
そんなGoogleの企業理念が意図されていると推察できます。
企業ロゴなどもミッションの視点から分析すると意外な発見がありますね。
英語からミッションを考えてみよう
ではグーグル合同会社の本家というべき、アメリカGoogleの英語ミッションも合わせて分析してみましょう。
![](http://manabilab.jp/wp-content/uploads/2021/08/image-1.png)
Our mission is to organize the world’s information and make it universally accessible and useful.
これが日本語に翻訳される前のGoogleミッションです。
特に注目頂きたいのが、organize と information の単語の使い方です。
organize は日本語だと「整理する・準備する」なのですが、類義語だとArrangeもあります。
なぜGoogleは「organize」という単語を選んだのか?ちょっと気になりますね。
organizeとarrangeの違いを調べると
arrangeの「整理する」は
「お役立ち英語情報」様より引用
順番通りに並べて整理するという感じです。
organizeの「整理する」は
汚かったり乱雑だったりする状態から
整理してきれいにするというのがあります。
…中略…
「準備する」もorganizeは効率的に
行動できるような「準備する」になります
さらに英英辞典でorganizeを調べると
“to do or arrange something according to a particular system”
(特定のシステムに応じて何かをなす、あるいは整える)
「効率」と「システム」というキーワードをGoogleのビジネスで考えると、単なる「整理する」を目指しているわけではないことが見えてきます。
さらにinformationについても考えてみると「情報」を意味する単語ですが、類義語としてdataやintelligenceがあります。
この3つの単語の違いについては、くわしく解説されていた記事がありましたので引用すると
・インテリジェンス :価値のある情報
日本サードパーティ株式会社の記事(2017-04-05)より
・インフォメーション:意味のある情報
・データ :存在する情報
という定義がされています。
Googleのビジネスはミッションから考えると…
「意味のある情報」を集め「価値のある情報」として利用者が活用するための基盤として世界中からアクセスできるシステムとして整えるということ
と考えられます。
日本人の大半が英語の意味をそこまで深くは考えないかもしれません。
しかし、日本企業でも海外に向けてミッションの英語版を用意しているケースもあります。
言葉に対するセンサーを磨いておくと、様々な発見ができますね!
グーグルのビジョンとバリュー
グーグルのビジョン
では、グーグルのビジョンも簡単に見てみましょう。
グーグルのビジョンは、過去にはこのように掲載されていました。
「1クリックで世界の情報へアクセス可能にする」
(To provide access to the world’s information in one click.)
![](http://manabilab.jp/wp-content/uploads/2021/08/button-4203036_640.jpg)
このビジョンに向かって、Googleは明確に行動してきた結果が今であるのは間違いないでしょう。
ただ、ビジョンは都度見直されていくものであり、Googleは革新を続けています。
明確にWEBなどでは公開されていないようですが、the Alphabet annual report for 2018にはこのような記載がされています。
We continue to look toward the future and continue to invest for the long-term. As we said in the original founders’ letter, we will not shy away from high-risk, high-reward projects that we believe in because they are the key to our long-term success.
Google the Alphabet annual report for 2018 を抜粋
簡単に概要を訳すと
「Googleは未来のために長期投資をし続け、リスクは高くても高い報酬が得られるプロジェクトを敬遠しない。なぜならば、それが長期的な成功の鍵であると信じているからである」
ということですね。
Googleのビジネスの全体像を知りたい場合は、次のような本で学ぶことをおすすめします。
彼らのビジョンをより深く研究するのであれば、英語サイトですが非常に興味深い考察がありましたのでご紹介します。より学びを深めたい方はぜひチェックしてみて下さいね。
グーグルのバリュー
グーグルのバリューは、次の10カ条です。
- ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
- 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
- 遅いより速いほうがいい。
- ウェブ上の民主主義は機能します。
- 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
- 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
- 世の中にはまだまだ情報があふれている。
- 情報のニーズはすべての国境を越える。
- スーツがなくても真剣に仕事はできる。
- 「すばらしい」では足りない。
このバリューが特に、従業員にとって「働きがいのある企業1位」である理由につながっているといえそうです。
もちろんGoogleのミッションやビジョンとは密接に関係していますね。
詳細はぜひ、Googleのページをご覧頂きたいのですが、一点だけ。
ページのURLをチェックいただくと
https://www.google.com/about/philosophy.html?hl=ja
となっていることにお気づきいただけるでしょう。
philosophyとは「哲学」のこと。企業経営とからめた場合は、「経営理念/企業理念」を指します。
この「Googleが掲げる10の事実」はミッションと並んで、彼らのビジネスの理念そのものだと、実はURLでも主張されているわけですね。
大企業ほどミッション・ビジョン・バリューはこだわりぬいて策定しています。
興味がわいたら、ぜひ色々な企業のミッション・ビジョン・バリューをチェックしてみましょう!
3 まとめ
Googleのミッションとビジョン、バリューだけをみても、様々な気付きがありました。
社員の方々はもちろんビジネスにおけるパートナー、そしてサービスを通じて私たちユーザーにも体現されている理念。
企業の軸となる言葉を知ることで、短い言葉の裏に隠された各社のストーリーを深堀りし、より多角的な視野から「社会」を観察してみましょう!