優良ホワイト企業ランキング1位パナソニックのミッション を考える

優良ホワイト企業のランキング1位の企業、パナソニック。

ホワイト企業を実現するためには、当然ですが健全な経営が不可欠です。

経営の軸を言葉で示したものがミッション。

さて、パナソニックのミッションは一体何でしょうか?

今日は優良ホワイト企業ランキング(2019年最新版)1位の「パナソニック」のミッションを分析してみたいと思います。

パナソニックのミッション

ブランドスローガンからミッションを分析する

パナソニックは自社のミッションをブランドスローガンという形で次のようにサイトに掲げています。

”A Better Life, A Better World”
私たちパナソニックは、より良いくらしを創造し、世界中の人々のしあわせと、社会の発展、そして地球の未来に貢献しつづけることをお約束します。

パナソニックのブランドスローガンより

これがパナソニックが自社の使命としていることです。

パナソニックは電気機器メーカーですが、提供している商品は電気機器ではなく、商品が創造する「より良いくらし」であり、それが「世界中の人々のしあわせ」そして「地球の未来」につながっていると言うメッセージです。

英語のミッションに、Life(くらし)とWorld(世界)というキーワードがクローズアップされていることからも明らかでしょう。

「くらし」や「しあわせ」をひらがなで表記している点も注目しましょう。

より柔らかな印象を与えますし、子どもを意識した言葉選びだと感じます。

ミッションが描かれた背景にも、アジア人と思われる家族の笑顔の写真が使われています。

日本かどうかはあえて分からないようになっていますね。

メッセージを向ける先は世界、特に現状はアジアに戦略の焦点を当てているのでは?と考えられます。

言葉だけではなく、デザインなどの視覚効果を含めて分析する習慣をもつと色んな気づきが生まれてきますね。

社長のメッセージからミッションを分析する

サイトの中では、ブランドスローガンのすぐ下に「社長のメッセージ」が掲載されています。

これまでの100年、パナソニックは、「事業を通じて世界中の皆様の『くらし』の向上と社会の発展に貢献する」ことを基本理念とし、あらゆる活動を行ってまいりました。今後も、私たちはこの理念に基づき、お客様のくらしに寄り添いながら更なるお役立ちの創出を目指してまいります。

…中略…

お客様のより良いくらしを実現するためには、目に見える「製品」だけでなく、エネルギーやサービスの進化といった「目に見えない」領域でのお役立ちが不可欠となっております。

私たちはこうしたお客様や社会からのご要望に、より丁寧に向き合い、培ってきた技術力・ものづくり力を磨きながら、絶えず、お役立ちの追求のために進化し続けてまいります。

パナソニック:Panasonic代表取締役社長、津賀一宏氏のメッセージより

「お客様のくらしに寄り添いながら更なるお役立ちの創出を目指す」というミッションを土台とした上で「『目に見えない』領域でのお役立ち」とも向き合っていくという企業ビジョンを掲げているのが社長メッセージからも分かりますね。

創業者松下幸之助の綱領からミッションを分析する

パナソニックの経営理念を語る上で、創業者である松下幸之助を外すことはできません。

サイトにも「 ブランドスローガン“A Better Life, A Better World”は、創業者・松下幸之助氏が定めた綱領を、現代向けに、端的に表現したもの」と明記されています。

産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す

創業者・松下幸之助氏の綱領より

松下幸之助氏の綱領でも「社会生活の改善と向上」(=より良いくらし)「世界文化の進展」(=社会の発展、地球の未来)が軸ですね。

創業者の掲げるミッションが企業全体にどれだけの影響を与えるかを示す好例だと言えるでしょう。

ミッションをきちんと言語化し伝える重要性を、松下幸之助氏はご存知だったのかもしれませんね。

パナソニックのビジョン・バリュー

技術10年ビジョンからビジョンを分析する

では、パナソニックのビジョンは具体的にはどのように示されているか分析してみましょう。

詳しくは、パナソニックのサイトを見て頂ければと思いますが、領域は多岐にわたります。

電気機器メーカーと捉えてしまうと、パナソニックの経営戦略や業界全体の動向は見えにくいですね。

行動基準からバリューを分析する

パナソニックのバリューについても考えていきましょう。

2008年に社名変更およびブランド統一を機に制定され、Panasonicブランドの目指す姿と企業の社会的責任(CSR)が求められている社会の中で、企業として全社員でのグローバルな共有を図っている。

サイトには上記のように記載されています。

ちなみにサイトURLを見てみると
https://www.panasonic.com/jp/corporate/management/code-of-conduct/list.html

code-of-conductは、日本語に訳すと「経営や行動のきまりごと」という意味になります。

codeは類義語のruleと違い、罰則もあるような法的規則というニュアンスです。

この行動基準を企業として貫いていきたいという強い思いが伺えますね。

ミッション・ビジョン・バリューを定めることは社会的責任(CSR)を果たす上でも大きな意味を持ちます。

「どのように企業としてCSRを果たすのか?」という答えだからです。

そして定めただけでは不十分で、経営者から新入社員にいたるまで企業全体で「共有」されることが必要なのです。

共有以前の問題としてミッションの言語化がそもそも難しい場合は、専門家の手を借りるのも手ですね。

まとめ

パナソニックが優良(ホワイト)企業ランキング1位である理由としては、ミッション・ビジョン・バリューが明確かつ創業者松下幸之助氏の理念が企業内で共有がなされていることも大きいのではないかと思われます。

軸があるからこそ、企業努力の方向性がぶれないのです。

ただ、そんなパナソニックもかつて企業理念を見失い、7500億以上の赤字を2012年および2013年と2年連続出したことがあります。

現在はV字回復を遂げていますが、当時パナソニックは企業存続の危機でした。

企業のトップの「想い」がいかに経営に影響を与えてしまうのか。そして、ミッションを定め、ぶれずに経営することがいかに重要かつ困難か。

気になる方はこちらの書籍などでより学びを深めてみて下さいね。