マナビラボ

第4回

2015.12.24

これからの社会をつくるために
−知識と発信のバランス−【後編】

−−国語で語学研修の中間発表をする授業でしたが、手ごたえはいかがでしたか

福田先生:事前に発表の準備をさせるようにはしていましたが、生徒たちがどの程度準備してきたのかまでは確認できないので少し心配していました。けれど、思ったより準備していたので安心しています。授業全体では、生徒同士の交流がきちんとできるようになってきたように思います。高校1年生の頃はグループワークにもぎこちなさがまだありましたが、だいぶ変わってきていると思います。

 

−−プレゼンテーションの授業について気をつけていることはありますか

福田先生:国語の授業でプレゼンテーションを扱うということについて、自分が焦点化してねらいを示していくことが必要だとは考えています。ただ単にICTを利用してプレゼンテーションの準備をして練習をして……というだけだと、情報の授業と何が違うのか、ということになります。なので、話し方や国語としてプレゼンテーションを扱う意味を深めていくことに注意を払っています。

 

kashiwa3r

−−福田先生は大学院時代に授業研究を専門とされていたとのことですが

福田先生:大学院時代は、アメリカの哲学者、ジョン・デューイの探求の理論と経験としての芸術に関する研究をしていました。科学分野の授業において学校の教室ではどういう言葉が使われるのか、芸術の授業において教室ではどういう言葉が使われるのか、を抽出して、デューイの観点から分析するという研究です。実際に自分で授業をするときにもグループワークに対する抵抗があまりなかったのは、教師になる前に、グループワークをさせるとどのようなことが起こるのかを専門にしていたということがあります。

 

−−当時の研究は現在の授業に活かされていますか

福田先生:どのような分野でも、その分野に特有の言葉や言葉遣いというのはあります。そこを意識しながら授業を組み立てています。「コンテンツに合わせた言葉がある」ということです。そのような言葉は、言葉遣いがある程度完成してくると出てくるようになりますが、生徒にそこまで要求するわけではありません。教師としては、高校生であればここまでできればいい、ここに注目させたい、という部分はあるので、そこに焦点を当てるようにかみくだいて、「ここまで学ぼう」などのように示していくという視点で言葉をつかうことには活かされています。

 

kashiwa6r

−−アクティブ・ラーニング型授業の年間のスケジュールはどうなっていますか

福田先生:ICTを使うと、発表と交流をしやすいという利点があります。それを活かして、今年度ではディベートとプレゼンテーションを取り入れています。まず、一学期には軽めのテーマを用いてのディベートを行っています。発表や交流に慣れてきたら、二学期には、語学研修に向けてのプレゼンテーションの準備と練習。三学期にはより高度なテーマでのディベートを予定しています。クラスを6グループに分け、事前準備に取り組ませます。

 

−−柏日体高等学校はICT環境がよく整備されていると感じます

福田先生:学校の方針としてICT教育には力を入れており、私はICT担当をしています。2015年の9月から無線LANが整った新校舎を使用しているのですが、整備や運用面ではまだまだやることがたくさんあります。また、タブレットを生徒に購入させていますが、授業面では「タブレットを入れたらいままでの授業がなくなってしまうのではないか」という懸念もなかったわけではありません。むしろ、いままでの授業とICTを利用した授業のいいところをお互いに取り入れていくように説明しました。シリアルナンバーで各端末を管理しているので、勝手に設定を変更するなどした場合には通知がきます。それを利用して、生徒にも私的な使用と学校での学習利用の違いというものを教えていくようにしています。生徒にとっては学習自体が日常生活の延長線上なので、学習目的といわれてもはっきり区別する考え方に馴染みがありません。なので、たとえばゲームなどを入れたりするとそういう目的で持っているんじゃないよね、と指導していきます。

kashiwa7r

 

−−ICTを実際に授業でも利用して、いかがですか

福田先生:発表の準備や練習などではいいのですが、講義形式の授業では反応時間やテンポが合わなくて使いづらいところもあります。「ICTに使われる」形になってしまうと本末転倒なので、あえて使わない部分も作っています。これからもっと性能がよくなるなどして、使いやすいと思えば、より積極的に導入することもありえます。しかし、アナログにはアナログの良さがある。いろんなもののいいところを取り入れていくように考えています。

また、ICTは若い世代ほど使い慣れしやすいという部分もあり、生徒の適応の早さに驚かされるときもあります。たとえば、自分のノートをiPadで管理していたり、ノートを生徒同士で共有したり。いろいろな機能を組み合わせて工夫し、生徒同士での学習を積極的に行うなどしています。

 

−−これからどのような授業を目指していこうとお考えですか

福田先生:これから求められる能力としても、思考力とアウトプットしていく能力は必要です。私自身、一斉授業を聞いているだけだとあまり楽しくなかった。大学や大学院でのゼミのように、多方向の議論が普通になるような授業が高校で実現できればいいと考えているし、最終的にはそうしたい、そこまでいきたいですね。高校の授業は、方法としてはやや保守的になりやすい。アクティブ・ラーニングがメインストリームになるようにもっていきたいと思っています。

 

 

千葉県柏市の柏日体高等学校柏日体高等学校は、学校法人日本体育大学設置校として千葉県柏市に位置する私立高等学校。「健康と信用は最高の宝」という建学の精神を掲げ、アドバンストコース、進学コース、アスリートコースの3コースによって、学業とスポーツにおいて多くの生徒が活躍している。

MORE CONTENT

  • マナビをひらく!授業のひみつ
  • 超高校生級!明日をつくるマナビの達人たち
  • 15歳の未来予想図
  • どうするアクティブラーニング?先生のための相談室
  • ニッポンのマナビいまの高校の授業とは!?
  • 高校生ライターがいく
  • 3分でわかる!マナビの理論
  • マナビの笑劇場