マナビラボ

第18回

2019.05.15

宮城県松島高校観光科の「特色づくり」に迫る!(後編)

特色ある学校づくり」は、今日の学校教育について考えていくときの重要な課題の一つになっています。とはいうものの、実際の「特色ある学校」とは、どのようなものなのでしょう?また、学校における特色づくりは、具体的には教師のどのような活動によって可能になっているのでしょう?

 

こうした「特色ある学校」をめぐる問いを抱きつつ、2018年11月14日、マナビラボ・プロジェクトでは、宮城県松島高等学校観光科の授業に潜入し、観光科のカリキュラムや取り組みについて根堀り葉堀り伺ってきました。

今回は、前編・中編に引き続き、櫻井先生と榛澤先生にお話を伺った後編です。

前編はこちら→http://manabilab.jp/article/5417

中編はこちら→http://manabilab.jp/article/5450

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よりよい観光科の取り組みに向けて

――観光科での取り組みを進めてきて、今、課題と感じていることはありますか?

 

櫻井先生:われわれは、生徒と付き合う時間が長いので、「この子のこういうとこがいい」っていうのが何となく見えてくるんですけど、それをどうやって評価にして、どうやって外に伝えればいいのか。

生徒のいい部分を、どう外に評価、数字として表していくか。それが今の一番の課題ですね。

――評価の面に課題を感じていらっしゃるのですね。とはいえ、さまざまな課題を乗り越え、観光科のカリキュラムの理念は共有されてきたのでは?観光科で大事にしていることは何ですか?

 

櫻井先生:そうですね。今、世の中では働き方改革とかいろいろ言われていて、これまでとはまったく違う考え方も出てきていますよね。実際「そんなの仕事になるの?」みたいな感覚のものもあります。そうなると、われわれの今の感覚で教えても、将来生徒が「あれ?こんなの違ったな」となってしまうのでは、という恐怖感があります。なので、なるべく外に出ていって、現場の人たちはどう感じてるのかっていうのを肌で感じ取っていくのが大事だと思っています。

最近では観光業が世の中を先行をしているようなところもあるので、「観光」の変化を見極めながら、新しいサービスの形とかそういったものを考えていく必要があると思います。

だから生徒に対して強調していることは、「観光業に絶対就かないと駄目だよ」っていうことではなくて、「世の中でどう人と関われるのか」を考えることの方で、これを基本に授業の方は進めています。

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榛澤先生:とはいえ、私も櫻井先生もこれから10年もこの学校で勤務するわけではありませんし、いずれ遅かれ早かれ転勤するということを考えると、若手教員の育て方が課題だと考えています。

先ほどもありましたけれども、観光の専門の人が転勤してくるわけではありません。どちらかというと商業について商業高校でバリバリやってきた人間が赴任してくるので、赴任して「え…観光??」「どうしたらいいんだ、わかんない」「何をやるんだろう」となるわけです。そこから、授業を担当して、生徒たちを育てていかなきゃいけないとなったときには、販売実習に出すにしても、ホテル実習に行かせるにしても、生徒を短時間で効率的に指導することが求められます。そういうノウハウとかテクニックっていう部分は次の世代に確実に引き継がれなければいけないと思っています。

 

櫻井先生:私は観光科の2代目なんです。

詳しい流れはよくわからないとこもあるんですけども、観光に力を入れていくことが決まったとき、最初に地域でサポート委員会が立ち上げられ、観光に携わる仕事をされてる方々が集まって、人材育成や地域に根差した観光の在り方について話し合われたそうなんです。そういったことを授業に乗せていったのが、先代なんです。

世代が代わってからは、授業への乗せ方をブラッシュアップしてきました。

 

榛澤先生:私たちが先代の思いを受けて動けてるのかといえば、多分ちょっと違う部分もあると思うんです。もともとこういう目的でやりたかったということと、もしかしたらずれてるかもしれない部分もあります。どう受け継いで、どう引き継ぐのかは、私たちの世代の課題かなと思いますね。

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「観光」という特色を先生方が具体的にどのようにして支えてきたのか、少しだけ覗いてみることができた。「特色ある学校」での学びをどのように評価し、外に伝えていけるのか。また、「特色あるカリキュラム」をどう受け継ぎ、どう引き継ぐのか。これらの課題は松島高校における先進的な取り組みにおいて認識されているものであるが、「特色ある学校づくり」においては少なからず共有されるものであるのかもしれない。

 

取材にご協力いただき、ありがとうございました!

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