マナビラボ

第22回

2017.03.15

全国調査の結果を解説!
〜Vol.5 校内研修の実施状況と学習環境(ICT等)の利用状況〜

全国調査の結果を解説する「ニッポンのマナビ いまの高校の授業とは!?」

2015年度に続き、東京大学大学総合教育研究センター中原淳研究室は、一般財団法人日本教育研究イノベーションセンターとの共同研究として、「高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する全国調査2016」を実施しました。
各教科(国語、数学、理科、地歴・公民、外国語)の教科主任の先生向け、各教科でアクティブラーニングに取り組んでいる先生向けの2種類の調査について、調査票を送付した全国の高等学校約2,414校のうち、約74%にあたる1,794校からの回答を得ました。

全国調査2016の結果解説、5回目となる今回は「校内研修の実施状況と学習環境(ICT等)の利用状況」についてです。

アクティブラーニングに関する校内研修の実施状況

校内研修の実施回数

2015年度調査では、年間の校内研修の実施回数を学校代表者に尋ねたところ、その平均値は5.04回/年であることがわかりました。

そこで、2016年度調査では、そのうちアクティブラーニングに関する校内研修の実施回数を教科主任に尋ねました。その結果、アクティブラーニングに関する校内研修の平均実施回数は1.54/年であることがわかりました。

校内研修の平均実施回数を学校設置者別に見てみますと、市立・町立などの「その他公立」高校で平均3.14/年と、その他の高校よりも多いことがわかりました。一方、「国立」高校では平均0.88回/年とやや少なめとなっていました。

2015年度調査の結果によると、アクティブラーニングに関する校内研修の実施率は「国立」で55.6%、「その他公立」で40.5%でした。

したがって、国立高校では、アクティブラーニングに関する校内研修の実施率は高いものの、実施回数は少なく、その他公立高校では、校内研修の実施率が高く、かつ実施回数も多いことがわかりました。

20160111_1

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アクティブラーニングに関する校内研修の実施回数の影響力について検討するために、効果の変化および悩みの変化との関係を調べてみました。すると、非常に弱い関係ではありますが、校内研修の実施回数が多い教科ほど、効果の変化を実感し、悩みが減っている傾向にあることがわかりました。

効果的なALを実施するとともに、AL実施に伴う悩みを解決するためには、校内研修等の機会を通じてアクティブラーニングに関して教員同士で情報・意見を交換することが重要であると言えそうです。

学習環境(ICT等)の利用状況

学習環境の利用状況1
学習環境の利用状況2

アクティブラーニングの実施について、どのような学習環境を活用しながら授業を行っているか、その利用状況を教科主任に尋ねました。

その結果、最も多く活用されているのは「プロジェクタ」74.7%で、アクティブラーニングに取り組んでいる教科のうち4分の3の教科で活用されていることがわかりました。次いで、「実物投影機(書画カメラ)」39.9%、「インターネットに接続されたコンピュータ(生徒用)」39.6%が、アクティブラーニングに活用されていました。

一方、「クリッカー」3.6%、「グループ学習室」12.2%、「デジタル教科書」14.9%などはあまり活用されていませんでした。これらはそもそも導入している学校自体が少なく、それゆえ活用している教科も少なくなっています。

これらの結果から、全国の高校では、すでにある学習環境を、教科全体の方針として活用したり、あるいは各教員が個別で活用したりしながら、アクティブラーニングに工夫して取り組もうとしている姿がうかがえます。

上図は、ご自由に引用・転載していただいて構いません。また、引用・転載にあたっては、事前にご連絡をいただく必要はありませんが、必ず以下の【出典記載例】に則って、出典をご明記ください。

【出典記載例】
木村充, 伊勢坊綾, 小山田建太, 田中智輝, 村松灯, 山辺恵理子, 中原淳 (2017). 東京大学-日本教育研究イノベーションセンター共同調査研究 高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する実態調査2016: 第一次報告書.
http://manabilab.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/1streport.pdf

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