マナビラボ

第9回 15歳の未来予想図

2016.03.23

「一生懸命」になれるものを見つけ
「使う側」から「作る側」に

宮坂学 x 中原淳(後編)

ラボ長の中原が、教育に熱意のある著名人の方をお招きして「これからの社会」や「これからの教育」について、ざっくばらんに語り合います。

今回のゲストは、ヤフー株式会社 代表取締役社長の、宮坂学社長です!

前編では、ご自身のキャリアのスタートと「大人になっても学び続ける姿勢」について語ってくださり、中編では、代表取締役社長になられてからの軌跡についてお話しくださいました。
ついに完結する後編の今回は、「これからの社会のあり方」と「これからの働き方」について伺いました!

 

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中原: ちょっとじゃあ、話を変えて。

今15歳の高校生が5年、10年たったら20、25歳ですよね。15年たてば30歳なんですけれども、ちょっと視差を変えて、どういうような社会になっていくのか。ITって観点からで結構だと思うんですけど、技術と人間どういうようなバランスの中でこの社会って動いていくのか、なんかご自身で実感することってありますか。

 

宮坂: 月並みですけど、変化の速度は増えるほうにしか行かないんだと思うんですよね。
だから10年前ときょうの違い、20年前ときょうの違いよりも、今から10年後、今から20年後の違いの方が多分、大きくなるしかと思うんですよ。これは、これまでの自分の実感的に感じています。抽象的な話しかできないんですけど、確実なことは変化の速度が上がると。

 

中原: 変化の速度と、じゃあ規模も上がるってことですかね。

 

宮坂: そうですね。何もかも、変わってしまうんだろうというのは確実ですよね。
だから、「その中でどう自分が生きていくのか」というのを考えることが出発点じゃないですかね。

 

中原: なるほどね。
ITと子どもっていう観点でいくと、例えば子どもっていろんな技術に触れてるんですけど、どうやって子どもにITとの付き合い方みたいなのを教えればいいんでしょうね。今年からなんですけど、うち子どもが小学校3年生で、プログラミングとかちょっと始めちゃったりしてて、まあ大したもん作ってないんですけど。別に僕それでエンジニアになってほしいっていうよりは、なんかうまく付き合ってほしいっていうか。毛嫌いしない、っていうね。そういうのはあるんですけどね。

 

宮坂: ITに限らず、技術を身に付けておくのはとてもいいことだと思うんですよ。

だから、今は英語とかプログラミング言語ができたほうがいいですけど、100年とか200年前とかだと、それこそ平仮名を覚えようとする人もいたわけで。まだ字が分からないような(方が)日本にもたくさんいらっしゃいましたからね。でも、字を覚えればどんな業種に行っても役に立ちますよね。

多分、ITも同じような世界だと思うんですよ。ITは別にIT業界に行くから覚えるわけではなくて、「読み、書き、そろばん」と昔でいっていたもの。英語に近いものだと思いますけど。どの業界に行こうともそれはすごく役に立つことで。

今まではインターネット業界に行くときに役に立つもので。インターネット業界が伸びているという言い方が多かったと思いますが、多分そうではなくて、もうどの業界に行こうとも、インターネットとかIT技術が分かる、使えるというのは間違いなく役に立つと思いますね。

 

中原: そうでしょうね。そういう意味でいうと、時代に応じて必要なリテラシーみたいなものも変わってくるし。ある時代は例えば「インターネット企業」とか「IT企業」の中でITは役立つものだったかもしれないんだけど、それがだんだんだんだん普通のものになってくるって感じなんですかね。

 

宮坂: そうですね。だから「IT産業」という言葉自体、だんだん定義も変わってくると思いますね。

 

中原: なくなるのかな(笑)

 

宮坂: これからは多分、自動車だってIT産業になりますし、家自体もスマートホームという言い方でIT産業になりますし、時計だってIT産業になると思いますし、ヘルスケアもIT産業と言っていますし。だから、全ての産業がインターネット、ITとどのように付き合うのかと考えているところで。どの業界に行こうとも、IT業界に行こうが行かまいが、遅かれ早かれあなたの働く仕事は必ずITが入ってくる時代になるんではないですかね。

 

中原: なるほどね。ご活躍の場が広がりますね(笑)、

 

宮坂: そうですね。だから、ITを知っていると非常にいいチャンスがあります。

最初の話に戻りますけど、やはり、インターネットとかITは「使うことができる」というフェーズと、「作ることができる」というフェーズの2つあると思うんですよね。

 

中原: ありますよね。

 

宮坂: 「使うことができる」というのはできるわけですよ。大体の人が。ただ、「作ることができる」というのは結構大事で、何でもいいからインターネットで何かを作れるというところを学ぶことが大事なんじゃないですかね。

 

中原: 僕、子どもにそのまま言うこともありますけど、今の話をちょっと考えると、「消費者」と「生産者」ってことかと思うんですよね。

 

宮坂: おっしゃるとおりです。

 

中原: 消費者の立ち位置って誰かの作ったゲームとかでいる時期も楽しいのかもしれないんだけど、やっぱりそのゲーム自体を作っていく生産者の立場になってほしいなってすごく思いますね。

 

宮坂: それは同感ですね。これは昔からそういうものだったと思うんですよ。僕の世代では、若いときはみんなギター弾いていたのですが、音楽を聴いたら次は音楽を作りたくなるわけですよね。

 

中原: なりました?(笑)

 

宮坂: なりました。だからみんなでバンドを組んでいたわけですよね。今だったら、きっと若い人はゲーム作ったり、インターネットサービスやアプリを作ったりすると思うんですけど。

 

中原: そうなんでしょうね。

 

宮坂: 物を作れる、インターネットの技術を使って何か作れるっていう、「作る人」に回ったほうが面白いと思います。

 

中原: そうですよね、作り手側に回ったほうが面白いって、すごいシンプルなのかもしれない。

 

宮坂: それは必ずしもプログラミングである必要ないと思うんですよ。例えば身近なところだと、自分の身の回りにあるお父さん、お母さんの不要品をインターネットのオークションサイトで売ってみるとか。

 

中原: なるほど、それは敷居低いですね。

 

宮坂: これも非常に簡単ですよね。あとは、自分の友達と一緒に映像を撮ってYouTubeにアップしてみるとか。

僕のときは、コンピューターで何かを表現するときにしていたことはDTPなのですが。今だったらDTM、音楽ですよね。音楽をコンピューターで、初音ミクだけで全てフルバンドができてしまうわけですから。音楽を作るとか、作る側に回るやり方って実はものすごくあると思うんですよ。

僕らの業界では、すぐプログラミングという言い方をしますが、別にプログラミングでもいいし、それ以外でもいいんで、見る・買う側だけではなくて作る側をやるとすごく楽しみ方が深くなると思います。

 

中原: お父さん、お母さんの不要品を売って、「半分おまえにやるよ」っていったら喜んでやりそうですね(笑)

 

宮坂: いいですね、そういうのはね。
単にインターネットを使う側としては、高校生のお父さん、お母さんは使っている世代だと思いますが、自分で何か物を売ったりするところまでは慣れていない人もいると思うので、すごく喜ばれると思いますけどね。

 

中原: 最後ちょっと一つの質問なんですが、結構今いろんな改革とか高校で起こってくるときに、今後どういうふうな働き方に変わってくるのかな、みたいなの結構みんな興味持ってるところなんですよね。

組織と個人っていう意味でいうと、どんなふうな働き方がこれから増えてくるように宮坂さんには見えますかね。

 

宮坂: どうですかね。「一生懸命働かないといけない」というのだけは変わらないと思うんですよね。

 

中原: それはそうでしょうね。

 

宮坂: 今後世界中の人が一生懸命働くわけで。途上国と言われている国の人たちも含めて。だから、一生懸命頑張る度合いは変えないといけないですよね。

国内で一生懸命ではなくて、グローバルで見て一生懸命やらないと。

当然努力した人のところに、お金もそうですけど、経験とか人脈とかが集まります。一生懸命やるということが、昔も今も技術が変わっても変わらないことかと。

 

中原: 「グローバル一生懸命」、ってなかなかハードですね(笑)

 

宮坂: そうですね。そこは大事と思いますね。だから、一生懸命持続できるものを見つけることがすごく大事だと思いますよ。間違っても本で読んで、これからはこういう技術を覚えるとお金持ちになれるからっという不純な理由でやると続かないので(笑)

 

中原: 好きなこととかね(笑)

 

宮坂: 「好きこそ物の上手なれ」と言いますけど、自分の好きなことを見つける力というのはすごく大事だと思うんですよね。それも、辛くなく、一生懸命できるので。

 

中原: 辛くなく、かつ楽しみながら、さっきの話でいえば、生産者になっていったりすることができればいいと思いますし、ITとうまく付き合えればいいな、なんていうふうに今日感じました。

 

宮坂: 僕は「道具」という言い方をたまにするのですが、企業がむしろ「道具」になる。自分たちのやりたいことを実現するための「道具」になると。これまで企業が社員を「道具」として、企業のやりたいことをやろうとなっていたのですが、もっとイコールな関係になってくるのではないですかね。

 

中原: なるほどね。分かりました。

今日はどうも本当にありがとうございました。

 

宮坂: どうもありがとうございました。

 

(終わり)

  • 取材

    中原 淳

  • 撮影

    松尾 駿

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