マナビラボ

第8回 15歳の未来予想図

2016.03.16

「とんちんかんな優先順位」をつけないために
人の話を聞いて、学ぶ

宮坂学 x 中原淳(中編)

ラボ長の中原が、教育に熱意のある著名人の方をお招きして「これからの社会」や「これからの教育」について、ざっくばらんに語り合います。

今回のゲストは、ヤフー株式会社 代表取締役社長の、宮坂学社長です!

前編では、ご自身のキャリアのスタートと「大人になっても学び続ける姿勢」について語ってくださいましたが、中編の今回は、代表取締役社長になられてからの軌跡についてお話しくださいました!

 

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中原: (宮坂社長のご経歴を)ちょっと調べさせていただいて、2012年ですかね、社長になられたと。
本当おめでとうございますって感じなんですけれども。

そこから「爆速経営」というスローガンの下で、いろんな経営改革をなさってるんだと思うんですが、どんなようなことをなさってきたのか、そしてどんなようなことが大変だったのか、ちょっとシェアしていただけますかね。

 

宮坂: 一番やるべきことというのは、「パソコンで使われるヤフー」から「スマートフォンで使われるヤフー」に生まれ変わる、脱皮させるというのが一番の大きな狙いでした。
それができれば(社長としての)仕事をしたということが言えると思いますので、そのためにどうすればいいかを逆算して考えました。

 

中原: パソコン中心ってことは、じゃあ、ヤフーのトップページがあって、あれはパソコンで普通見るもんだっていうところから今度これになるってことですかね。

 

宮坂: そうですね。
(パソコン中心だったの例えとして)よく言うのが、「マウスでクリックをする。キーボードを使うインターネット」と、(スマートフォンで使われる例えとして)「親指とか人さし指だけで使うインターネット」は、全然違うと思っています。
スマートフォンで使われるヤフーに変わらなければいけないと。

当時のヤフーは、90パーセント以上のアクセスがパソコンからでした。
マウスでクリックしてページビューが生まれる会社でした。
それを何とかしてスマートフォンで使われる会社に変えていかないといけないと思いました。

 

中原: それは、スマートフォンが今後伸びていくってことがあって、伸びていくとちょっと脅威だってことなんですかね。

 

宮坂: まあ、インターネットが出たときに近いような理由ですよね。

 

中原: ああ。またリセットボタンが。

 

宮坂: いくらパソコンで実績があり、技術と知識があっても、リセットボタン押されるタイミングなので、(実績や技術、知識は)あまり意味がありません。
もう一回初心に戻り、スマートフォンでいろんなことを覚え直してやらないといけないということを社員に言っていました。

 

中原: じゃあやっぱりあれですかね、巨大企業というかヤフーさんぐらいの規模があったら「PCからスマホに移ろう」っつって、なかなか変わんないもんなんですかね。

 

宮坂: 企業(規模)の大小にかかわらず、個人レベルでも「分かっているけどやれない」ということは、やっぱりあるかと思います。

 

中原: 分かっちゃいるけど(笑)

 

宮坂: 「できない」というか(笑)
人間の性(さが)だと思うんですよね。

 

中原: なるほどね。

じゃあ、そこをちょっと変えていくっていうのはやっぱ、みんなにとっては負荷が…

 

宮坂: やはり(変えていくには)何か仕組みを作ったりしないと(いけませんでした)。

僕は映画「マトリックス」がすごく好きで、「道を知ってることと歩むことは違う」とモーフィアスが言う素敵なシーンがあります。(この言葉は)すごく好きな言葉で、まさにこのようなことは、会社以外でもよくあると思います。分かっているけど(知っているけど)、、、って。

 

中原: 道があるけれど、そこを歩んで…

 

宮坂: 「(道を知ってることと」歩くことは、全然別のもの」だと。

これからのインターネットはスマートフォンだ、スマートフォンの道だってみんな分っているわけですよね。
でも(分かっているのと、実際に)スマートフォンの道を歩むというのは全然別のもの。(ヤフーは)これまでパソコンの道しか歩いてこなかったわけですからね。(スマートフォンという)大きな変化がある道に行くのは、(ヤフーに限らず)個人でも組織でも大変だと思いますけどね。

 

中原: そこは、じゃあ、大きな森というか、巨艦を動かしていくっていうのがやっぱり大変だったってことなんでしょうか。

 

宮坂: そうですね。
やはりいくつかの経営の仕組みとか、スマートフォンで頑張らないと、あまり会社で評価されない(制度)とか、スマートフォンの道を歩むうえで動きやすいような体制に変えていくとか。
本当にいろんなことをやりましたね。

 

中原: そういう改革の中で、宮坂さん自身が学ばれたこととか、印象に残ってることってありますか。

 

宮坂: ヤフーに入ってから、サービスを実際に作っていったり、その次にサービス作りながら管理職をやっていたりしたときに、(役割に応じて)景色が変わるわけですよね。
社長になると社長にしか見えない景色があるので、そこはまた新しい学び(直し)が私には必要でしたね。

 

中原: それはやっぱり違いますか。

 

宮坂: やはり見える範囲が変わり(広がり)ますからね。
(景色は)だいぶ変わってきますね。

 

中原: 1個職位が上がると、全然違う風景が出てくると。

 

宮坂: そうですね。そこで新しいことを学ばないといけない。

これまで自分は、物を作る仕事が多かったので、例えば営業のこととかを深く分からないから勉強しなければいけない。
ヤフーは、いくつか地方に拠点があります。行ったことのない拠点もあったので、(その拠点で)どういう仕事をしているのかを学びに行かなければいけないし。
株主に会ったことがなかったので、株主にもきちんと会う。

本当にこれまで(の職位では、)見えてなかったものがだんだん見えてきましたね。

 

中原: やること満載ですね。

 

宮坂: そうですね。本当にやることが満載で、全部やるとこれはこれでまたパンクをするので。

 

中原: じゃあ優先順位を付けて、やることとか。

 

宮坂: そうですね。やらないことも決めなければいけないですね。でも、それをやるにしても最初の1年ぐらいは、集中的に人の話をいっぱい聞いて、学ばないと、間違った優先順位を付けてしまうと思いました。だから一度はそういう(やること満載の)時期も必要だと感じました。

 

(後編へ続く)

  • 取材

    中原 淳

  • 撮影

    松尾 駿

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